人間ドック検診の集計
集計結果に関しては、「人間ドック健診における前立腺検査調査」として集計依頼施設に配布します。
前立腺がん検診に関する研究助成事業
助成の目的
前立腺がんによる死亡者は、年々増加の傾向にあることから、前立腺がん検診の普及、疫学的研究および検診効果の評価に関する研究等の円滑な実施を図るため、前立腺がん検診に関する研究班に対し助成を行うことにより、前立腺がんの撲滅を目指し、もって国民の健康管理の増進に資することを目的とする。
研究班の選考
研究班は公募するものとする。研究班の選考は、応募のあったものの中から、前立腺がん撲滅推進委員会が行うものとする。助成金の交付の決定は、前立腺がん撲滅推進委員会の選考結果に基づき研究財団が行うものとし、研究班長が交付決定通知を交付する。
研究の区分
助成の対象となる研究は、次に掲げるものとする。
(1)広域研究
(2)対照研究
(3)疾患継続研究
2001年度から実施の当事業は、前立腺がん検診研究班(班長:田中啓幹 川崎医科大学名誉教授、班員:95名)により、前立腺がん検診の調査・研究が実施されたものです。当事業は3つの研究区分により行われています(※1)。
広域研究
参加を希望する自治体数、受診者数とも年を追うごとに増加し、本研究は、2001年度から2005年度の5カ年をもって終了いたしました。(2005年度の自治体数は、時系列での比較のため合併前の旧自治体数とした。詳細については下図参照)
対照研究
長期間にわたり、前立腺がん死亡率の変化を調査する大規模疫学研究で、2002年度から2010年度に検診介入を実施しました。
2020年度中に、モデル地区では、検診受診者・精密検査受診者・がん発見症例・がん死症例とその転帰の記録が個人認識番号により全て連結され、対照地区に関しては、住民検診曝露率、年度別生検施行数、がん登録、がん登録症例の転帰に関するデータベースの構築が行われる予定でしたが、これまで予定されていた前向き介入研究は、臨床研究法の制定により、当初計画した大規模な介入を伴う研究の実施は困難です。そのため、2020年度より、症例対照研究・時系列/地域相関研究への後ろ向き研究へ計画を変更しました。
まずは、群馬県内の前立腺がん検診データと、地域がん登録・予後情報との連結を行なうために、群馬大学などの倫理審査で承認を受け、UMIN登録(科学的試験名:前立腺癌検診の有効性評価に関する症例対照研究・時系列/地域相関研究:UMIN000043131)が完了しました。2020年度から計画を変更して開始した新しい研究では、群馬県内の2018年度までの前立腺がん検診受診者の検診結果と2020年度までの前立腺がん登録情報、予後調査のデータを結合させ、前立腺がん検診受診歴と前立腺がん死亡リスクの関連性などを検証します。
疾患継続研究
検診結果の集計に加え、発見がん症例の治療法、追跡調査までを含めた調査・研究事業であり、2006年度より2010年度の5カ年計画で実施しました。
当事業は、日本における前立腺がん検診の基盤的な統計資料となり、前立腺がん検診の有用性の証明や、理想的な検診システムの構築などに関連する、多くの研究の成果が排出されると多方面から期待されております。本事業に関連する研究成果は、すでにいくつかの国内外の学会や専門誌にて発表されておりますが、今後は、さらに重要な研究成果が得られ、前立腺がん撲滅のための「早期発見・適切治療」の推進に貢献する事ができると期待されている研究助成事業です。
参加自治体数と受診者数(2001年度~2005年度)
※ 2005年度は合併前の旧自治体数
当事業の成果報告
学会発表
1.2002年度検診結果 … 第42回日本癌治療学会総会発表(2004年10月27日)
2.2003年度検診結果 … 第43回日本癌治療学会総会発表(2005年9月22日)
3.2004年度検診結果 … 第44回日本癌治療学会総会発表(2006年10月18日)
4.前立腺癌死亡率の地域間格差に関する検診受診者のPSA値分布から見た予測モデル
…第22回欧州泌尿器科学会(ベルリン)発表(2007年3月22日)
5.対照研究の概要とスクリーニング地区のコンプライアンスと非スクリーニング地区のコンタミネーションに関する研究
…第29回国際泌尿器科学会(パリ)発表(2007年9月4日)
6.2005年度検診結果
…第45回日本癌治療学会総会発表(2007年10月24日)
7.Japanese Prospective Cohort Study of Screening for Prostate Cancer (JPSPC): The Study Concept and the First Analyses on Compliance and Contamination for the PSA test (Gunma section).
…第23回欧州尿器科学会(ミラノ)発表(2008年3月27日)
8.Japanese Prospective Cohort Study of Screening for Prostate Cancer (JPSPC):研究のコンセプトと群馬セクションにおける検診受診のコンプライアンスとコンタミネーションに関する検討
…第17回日本腎泌尿器疾患予防医学研究会(盛岡)発表(2008年7月11日)
9.2006年度検診結果 … 第46回日本癌治療学会総会発表(2008年10月30日)
10.Japanese Prospective Cohort Study of Screening for Prostate Cancer (JPSPC)
…第24回欧州泌尿器科学会(ストックホルム)発表(2009年3月17日)
11.Japanese Prospective Cohort Study of Screening for Prostate Cancer (JPSPC): analyses on compliance, contamination and mortality until 2007 (Gunma section).
…第104回米国泌尿器科学会(シカゴ)発表(2009年4月29日)
12.2007年度検診結果 … 第47回日本癌治療学会総会発表(2009年10月23日)
13.Controversy over prostate-specific antigen screening has shifted from mortality to overtreatment issues.
… 第5回AUA/JUA International Affiliate Society Meeting
・第105回米国泌尿器科学会(サンフランシスコ)発表(2010年5月30日)
14.Japanese Prospective Cohort Study of Screening for Prostate Cancer (JPSPC): analyses on compliance and contamination until 2008 (Gunma section).
… 第3回World Congress on Controversies in Urology (アテネ)発表 (2010年2月25日)
15.Japanese Prospective Cohort Study of Screening for Prostate Cancer (JPSPC): analyses on compliance, contamination and mortality until 2008 (Gunma section).
… 第25回欧州泌尿器科学会(バルセロナ)発表(2010年4月19日)
16.2008年度検診結果 … 第48回日本癌治療学会総会発表(2010年10月28日)
17.Japanese Prospective Cohort Study of Screening for Prostate Cancer (JPSPC):群馬セクションにおける2009年度までの研究結果
…第99回日本泌尿器科学会総会(2011年4月21日)
18.2009年度検診結果 … 第49回日本癌治療学会総会発表(2011年10月28日)
19.Japanese Prospective Cohort Study of Screening for Prostate Cancer (JPSPC):群馬セクションにおける2009年度までの研究結果
…第20回日本腎泌尿器疾患予防医学研究会(2011年7月8日)
20.Urological Association of Asia (UAA) Lecture: Prostate Cancer and PSA Screening in Asia: Incidence, Mortality and Future Perspectives of an Ongoing Asian Screening Study.
… 第32回国際泌尿器科学会(福岡)発表(2012年10月1日)
講演スライド→こちらをご覧ください。
21.2010年度検診結果… 第50回日本癌治療学会総会発表(2012年10月25日)
22.Japanese Prospective Cohort Study of Screening for Prostate Cancer (JPSPC):群馬セクションにおける2011年度までの10年間の研究結果
… 第27回前立腺シンポジウム発表(2012年12月9日)
23.パネルディスカッション: 我が国における前立腺がん検診の現状と今後: PSA検診のがん死減少効果の文献的検証と我が国の前向き研究(JPSPC)の展望
… 第27回前立腺シンポジウム発表(2012年12月9日)
24.2011年度検診結果…第51回日本癌治療学会総会発表(2013年10月25日)
25.2002~2016年度の伊勢崎市前立腺がん検診研究の結果集計
…第33回前立腺シンポジウム発表(2017年12月10日)
26.Message from Asia 3“Toward decline in prostate cancer mortality: PSA screening and prevention” PSA Screening in Japan
…The 16th Urological Association of Asia Congress発表(2018年4月19日)
27.シンポジウム:前立腺がん検診:オーダーメイド検診と過剰診断・過剰治療対策の方向性
…第26回日本がん検診・診断学会総会発表(2018年9月7日)
28.シンポジウム:群馬県の前立腺がん検診の現況
…第29回日本腎泌尿器疾患予防医学研究会発表(2021年1月28日)
29.群馬県における前立腺がん検診の有効性評価研究:PROstate Cancer ScrEEning study on Death due to prostate cancer (PROCEED)
…第31回日本腎泌尿器疾患予防医学研究会発表(2022年7月8日)
誌上発表
1.田中啓幹, 伊藤一人, 山中英壽, 島崎 淳: 前立腺がん検診研究班(田中班)2002年度結果報告. 泌尿器外科 20, 1107-1112, 2007.
2.田中啓幹, 伊藤一人, 山中英壽, 島崎 淳: 前立腺がん検診研究班(田中班)2003年度結果報告. 泌尿器外科 21: 1187-1192, 2008.
3.Ito K, Kakehi Y, Naito S, Okuyama and the Japanese Urological Association: Japanese Urological Association guidelines on prostate-specific antigen-based screening for prostate cancer and the ongoing cluster cohort study in Japan. Int J Urol. 15: 763-768, 2008.
4.田中啓幹, 伊藤一人, 山中英壽, 島崎 淳: 前立腺がん検診研究班(田中班)2004年度結果報告. 泌尿器外科 22: 1097-1102, 2009.
5.伊藤一人, 赤倉功一郎, 山本 巧, 田中啓幹, 島崎 淳, 山中英壽: 前立腺がん検診研究班(田中班)の概要・進捗状況 1)概要・コンセプト. 泌尿器外科 22: 1107-1110, 2009.
6.伊藤一人, 宮久保真意, 小林幹男, 竹澤 豊, 古作 望, 松本和久, 山本 巧, 武智浩之, 登丸行雄, 鈴木和浩: 前立腺がん検診研究班(田中班)の概要・進捗状況 2)群馬セクションの進捗状況. 泌尿器外科 22: 1111-1113, 2009.
7.伊藤一人, 宮久保真意, 小林幹男, 竹澤 豊, 古作 望, 松本和久, 山本 巧, 武智浩之, 登丸行雄, 鈴木和浩: Japaese Prospective Cohort Study of Screening for Prostate Cancer (JPSPC): 群馬セクションにおける初期結果. 泌尿器外科 22: 1021-1022, 2009.
8.宮久保真意, 伊藤一人, 小林幹男, 竹澤 豊, 古作 望, 松本和久, 山本 巧, 武智浩之, 登丸行雄, 鈴木和浩: Japanese Prospective Cohort Study of Screening for Prostate Cancer (JPSPC):研究のコンセプトと群馬セクションにおける検診受診のコンプライアンスとコンタミネーション, 発見癌症例に関する検討. 腎泌予防医誌 17: 83-86, 2009.
9.田中啓幹, 伊藤一人, 島崎 淳, 山中英壽: 前立腺がん検診研究班(田中班)2005年度結果報告. 泌尿器外科 23: 1197-1201, 2010.
10.田中啓幹, 伊藤一人, 島崎 淳, 山中英壽: 前立腺がん検診研究班(田中班)2006年度結果報告. 泌尿器外科 24: 1415-1418, 2011.
11.田中啓幹, 伊藤一人, 島崎 淳, 宮久保真意, 山中英壽: 前立腺がん検診研究班(田中班)2007年度結果報告. 泌尿器外科 25: 1737-1740, 2012
12.田中啓幹, 伊藤一人, 藤塚雄司, 島崎 淳, 山中英壽: 前立腺がん検診研究班(田中班)2008年度結果報告. 泌尿器外科 26: 1325-1329, 2013
13.伊藤一人: PSA検診のがん死減少効果の文献的検証と我が国の前向き研究(JPSPC)の展望. 泌尿器外科 26: 1313-1316, 2013.
14. Ito K. Prostate cancer in Asian men. Nat Rev Urol. 11: 197-212, 2014.
15.田中啓幹, 伊藤一人, 藤塚雄司, 島崎 淳, 山中英壽:前立腺がん検診研究班(田中班)2009年度結果報告. 泌尿器外科 27: 1397-1400, 2014
16.田中啓幹, 伊藤一人, 藤塚雄司, 大木 亮, 山中英壽: 前立腺がん検診研究班(田中班)2010年度結果報告. 泌尿器外科 28: 1447-1450, 2015
17.伊藤一人, 藤塚雄司, 大木 亮, 山中英壽, 田中啓幹: 前立腺がん検診研究班(田中班)研究進捗状況報告. 泌尿器外科 29: 1359-1362, 2016
18.伊藤一人, 藤塚雄司, 大木 亮, 山中英壽, 田中啓幹: 前立腺がん検診研究班(田中班)研究進捗状況報告:2015年度伊勢崎コホートの検診結果. 泌尿器外科30: 1341-1344, 2017
19.伊藤一人, 大木 亮, 藤塚雄司, 松本和久, 古作 望, 小林幹男, 鈴木和浩, 山中英壽: 前立腺がん検診研究班 研究進捗状況報告:2016年度伊勢崎コホートの検診結果.泌尿器外科 31: 1247-1250,2018
20.伊藤一人, 大木 亮, 藤塚雄司, 松本和久, 古作 望, 小林幹男, 鈴木和浩, 村井 勝,山中英壽: 前立腺がん検
診研究班 研究進捗状況報告:2017年度伊勢崎コホートの検診結果.泌尿器外科 32: 1095-1098, 2019
21.Ito K, Oki R, Sekine Y, Arai S, Miyazawa Y, Shibata Y, Suzuki K, Kurosawa I:Screening for prostate cancer: History, evidence, controversies and future perspectives toward individualized screening. Int J Urol 26: 956-970, 2019
22.伊藤一人, 大木 亮, 藤塚雄司, 松本和久, 古作 望, 竹澤 豊, 小林幹男, 鈴木和浩, 村井 勝, 山中英壽: 前立腺がん検診研究班 研究進捗状況報告:2018年度伊勢崎コホートの検診結果.泌尿器外科 33: 1111-1114, 2020
23.伊藤一人,関根芳岳, 大木 亮, 藤塚雄司, 松本和久,古作 望, 竹澤 豊, 鈴木和浩, 村井 勝, 山中英壽:前立腺がん検診研究進捗状況報告:新たに計画された後ろ向き研究の概要と2019年度伊勢崎コホートの検診結果.泌尿器外科.35: 924-928, 2022
24.伊藤一人,関根芳岳, 大木 亮, 藤塚雄司, 松本和久,古作 望, 竹澤 豊, 鈴木和浩, 村井 勝, 平尾佳彦,山中英壽:前立腺がん検診研究進捗状況報告:後ろ向き研究の概要と2020年度・2021年度伊勢崎コホートの検診結果.泌尿器外科.36: 966-970, 2023
当事業の成果報告書
「広域研究」について
本研究助成事業において、2001年度に開始したパイロット研究の成果と、2002年度から2005年度まで実施した本研究の5年間の検診集計結果を取りまとめた「総括報告書(2001~2005年度)」を、2011年3月に発刊いたしました。本研究への参加自治体数は252市町村(延べ721市町村)で実施し、456,613人(年齢PSA値に欠損のあったデータを除く)を対象に行った研究成果報告書であります。
本報告書は、前立腺がんの罹患数、患者数、死亡者数ともに急増する我が国の現状に対して、確実ながん死低下効果が期待できるPSA検診を実施するにあたり、基盤的なデータをまとめた学術的な統計資料であり、検診事業の実務に携わっておられますご担当の保健師さんらによる日々の住民の方への普及・啓発活動、並びに各実施地区を担当された地区代表研究医師(前立腺がん検診研究班 班員)の方々のご協力により実施することができました。本事業の実施にあたっては、参加された市町村において、多くの住民・国民の皆様の、本検診へのご理解とご協力により実現することができた研究であります。解析結果の詳細については、「総括報告書」をご覧ください(※2)。
また、本報告書は、前立腺がんの撲滅と国民の健康管理の増進に多いに寄与するものと考えます。今後とも、本研究のデータベースの整備を行い、その解析結果を国際的学会及び学術誌に発表し、よりよい前立腺がん対策の均てん化と構築のために、貢献したいと考えております。
「疾患継続研究」について
この度、研究成果を取りまとめた「疾患継続研究」成果報告書は、検診結果の集計に加え、発見がん症例の治療法、追跡調査までを含めた調査・研究事業である「疾患継続研究」は、「広域研究」に参加いただいた市町村の中から、検診データの管理体制とがん登録システムが特に整っている2地区(京都府乙訓地区、長崎県長崎市)のご協力を得て、より詳細なデータ集計と検診の有効性の検証を目的に、2006~2010年度に実施されました。5年間の研究成果を取りまとめた報告書は、2014年3月に発行いたしました。詳細は、「疾患継続研究」2006~2010年度:成果報告書をご覧ください(※3)。
※1 本助成事業の内容については、(公財)前立腺研究財団までお問い合わせください。
※2既刊の、前立腺がん検診研究「総括報告書(2001~2005年度)」と、2002年度から2005年度「年次報告書」をご希望の方に貸出します(年次によっては数に限りあり)。
こちらの刊行物トップページを参照のうえお申し込みください。
※3 前立腺がん検診研究「疾患継続研究(2006~2010年度)成果報告書)」をご希望の方に貸出します。
こちらのページを参照のうえお申し込みください。