前立腺シンポジウム

第32回前立腺シンポジウム(2016年)

第32回前立腺シンポジウム

第32回前立腺シンポジウムは、第1日目の2016年12月10日(土)に「オープニングセミナー」と、「基礎部門」として指定演題の発表と「教育セミナー1」を行い、第2日目の11日(日)には「臨床部門」として「教育セミナー2」および「前立腺がん診断の進歩:画像・腫瘍マーカー」をテーマに、パネルディスカッション、公募による口演とポスター発表・討論を行いました。

第1日目の「オープニングセミナー」では、香川大学医学部泌尿器・副腎・腎移植外科の筧  善行先生から「前立腺癌診療ガイドライン改訂第3版の要点と今後の課題」というタイトルでご講演いただきました。「基礎部門」では、前立腺がんに関連する基礎研究の指定演題7題と、当財団の研究助成受賞演題4題の発表がありました。 動物モデルを用いた前立腺がんの発がん抑制の研究、新しいアンドロゲン受容体抑制メカニズム、神経内分泌分化のメカニズムの解明、去勢抵抗性がん進展メカニズムの解明と標的治療の可能性、骨転移進展の骨微小環境ネットワーク、テーラーメイド硼素中性子捕捉療法の確立、前立腺癌密封小線源療法後の血中循環腫瘍細胞の変化など、前立腺がんに関する最先端の基礎研究の発表があり、活発に討論が行われました。また、教育セミナー1では、山口大学大学院医学系研究科免疫学講座の玉田耕治先生から「免疫チェックポイント阻害療法と最新のがん免疫細胞療法」というタイトルでご講演いただきました。免疫チェックポイント阻害剤開発の経緯と、前立腺がんへの免疫チェックポイント治療への応用の厳しい道のりについてお話しいただき、免疫チェックポイント阻害剤とは異なる最新のがん免疫療法として、腫瘍反応性リンパ球を人工的に作製する遺伝子改変技術の可能性についてわかりやすくご教授いただき、活発な意見交換が行われました。

第2日目の「臨床部門」では、教育セミナー2において、京都府立医科大学大学院医学研究科泌尿器外科学の浮村  理先生から「「画像と生検」情報の統合による前立腺癌の3次元Mapping」というタイトルでご講演いただきました。限局性前立腺がんの新しい治療選択肢として、臓器機能温存を図るため臨床的に治療すべき癌病巣だけを標的化して低侵襲的に治療し、生活の質の維持を図るという新たな選択肢である「Targeted Focal Therapy(TFT:標的化癌局所療法)」について、これまでの膨大な研究成果と、それらに基づいた将来展望を示していただきました。また、今回の臨床部門のテーマは「前立腺がん診断の進歩:画像・腫瘍マーカー」でした。前立腺がんの適切なマネージメントのための重要なファーストステップは、正確な前立腺がん診断であり、スクリーニングから画像診断、専門医における生検までの前立腺がん診断システムの最適化が非常に重要です。パネルディスカッションでは「各種最新診断法がもたらす前立腺がん診療体系の変革」と題し、腫瘍マーカー、病理学、画像診断の分野から、新しい診断技術を開発し、リードしている5人の指名パネリストより講演が行われ、前立腺がん診断の近未来展望について、討論が行われました。また、公募による発表では、検診システム、前立腺がん診断における腫瘍マーカー、MRIの役割、前立腺生検の工夫、治療前診断における新規腫瘍マーカー・画像検査の意義など、44演題の研究発表がありました。

2日間にわたって開催された今シンポジウムには、360名を超える方々にご参加いただきました。全国の泌尿器科医、放射線科医、病理医および基礎研究者を中心に、前立腺がんの診断・治療に携わっておられる医師・研究者が一同に会し、討論を通じて意見交換ができたことは、明日からの前立腺がんの診療レベルの向上に直結すると考えられ、極めて意義深いシンポジウムとなりました。



テーマ 【臨床部門】
「前立腺がん診断の進歩:画像・腫瘍マーカー」
日程 第1日目
【オープニングセミナー】:2016年12月10日(土) 12:00~13:00
【基礎部門】:2016年12月10日(土) 13:05~18:20
第2日目
【臨床部門】:2016年12月11日(日)  8:55~16:40
場所 東京コンファレンスセンター・品川
(東京都港区港南1-9-36 アレア品川)
次第 第1日目
【オープニングセミナー】
「前立腺癌診療ガイドライン改訂第3版の要点と今後の課題」
筧  善行 (香川大学医学部泌尿器・副腎・腎移植外科)

【基礎部門】
①指定演題(口演)
1 「発癌」
2 「増殖」
3 「去勢抵抗性前立腺癌」
4 「研究助成受賞課題-1」
5 「研究助成受賞課題-2」

②教育セミナー 1
「免疫チェックポイント阻害療法と最新のがん免疫細胞療法」
玉田耕治 (山口大学大学院医学系研究科免疫学講座)

第2日目
【臨床部門】
テーマ「前立腺がん診断の進歩:画像・腫瘍マーカー」
①パネルディスカッション
「各種最新診断法がもたらす前立腺がん診療体系の変革」
■司会
酒井英樹(長崎大学大学院)
高原太郎(東海大学)
■パネリスト
伊藤一人(群馬大学大学院)
片平和博(熊本中央病院)
都築豊徳(愛知医科大学)
村上康二(順天堂大学大学院)
高原太郎(東海大学)

②公募演題
口演セッション
1 「MRI・新規腫瘍マーカー・ノモグラム」
2 「MRIガイド下生検・核医学診断・CRPC病理」
3 「転移がん・生検手法・腫瘍特性・その他」

ポスター討論
1 「ポスター討論①」
2 「ポスター討論②」

③教育セミナー 2
「「画像と生検」情報の統合による前立腺癌の3次元Mapping」
浮村  理 (京都府立医科大学大学院医学研究科泌尿器外科学)

臨床部門のテーマ設定の背景

今回のシンポジウムでは、前立腺がん診断の進歩:画像・腫瘍マーカーを主題にしました。前立腺がんの適切なマネージメントのための重要なファーストステップは、正確な前立腺がん診断であり、スクリーニングから画像診断、専門医における生検までの前立腺がん診断システムは進歩しています。しかし、過小診断・過剰診断を避けるためには、診断システムの最適化のための研究がますます必要で、現時点での最新知見を知り、討論する機会が重要です。
今回、前立腺がんの検診・診断に対して多くの症例経験を有している、第一線の臨床医・研究者が一同に会し、活発な意見交換の場を提供することは極めて医学的に重要と考え、テーマを設定しました。

プログラムをご覧になる場合



第32回前立腺シンポジウム運営委員会事務局

〒160-0023 東京都新宿区西新宿1-12-12 河西ビル6F
TEL:03-3340-3885
FAX:03-3340-3886
e-mail:zzkz@basil.ocn.ne.jp

運営委員長

鈴木和浩     (臨床部門・代表 群馬大学大学院) 

運営委員(臨床部門)

塚本泰司     (札幌医科大学・学長)
内藤誠二     ((医)原三信病院・名誉院長)
市川智彦     (千葉大学大学院)
村井  勝     (国際親善総合病院・名誉院長)
齊藤  泰     (佐世保市立総合病院・名誉院長)

運営委員(基礎部門)

市川智彦     (基礎部門・代表 千葉大学大学院)
内藤誠二     ((医)原三信病院・名誉院長)
鈴木和浩     (群馬大学大学院)
赤座英之     (東京大学大学院)
髙橋  智     (名古屋市立大学大学院)
白石泰三     (桑名市総合医療センター・副理事長)
小西  登     (奈良県立医科大学)
酒井英樹     (長崎大学大学院)

主催:第32回前立腺シンポジウム運営委員会、公益財団法人前立腺研究財団
後援:厚生労働省、公益社団法人日本医師会、一般社団法人日本泌尿器科学会

当日の様子


「オープニングセミナー」
演者:筧 善行 先生

「基礎部門」開会の挨拶
市川智彦 基礎部門代表運営委員

「基礎部門」指定演題
会場の様子

「基礎部門」教育セミナー1
演者:玉田耕治 先生

「基礎部門」閉会の挨拶
鈴木和浩 運営委員長

「臨床部門」開会の挨拶
鈴木和浩 運営委員長

「臨床部門」教育セミナー2
演者:浮村 理 先生

「臨床部門」
パネルディスカッション
会場の様子

「臨床部門」口演セッション
会場の様子

「臨床部門」ポスターセッション
会場の様子
(第1会場・第2会場)

「臨床部門」閉会の挨拶
村井 勝 財団学術担当理事

会場の様子
会場風景