第28回前立腺シンポジウム(2012年)
第28回前立腺シンポジウム
第28回前立腺シンポジウムは、第1日目の8日(土)に「基礎部門」として指定演題の発表と教育セミナー1を行い、第2日目の9日(日)には「臨床部門」として教育セミナー2および「前立腺がんスクリーニング」をテーマに、パネルディスカッション、公募による口演とポスター発表・討論を行いました。
第1日目の「基礎部門」では、前立腺がんに関連する基礎研究の指定演題9題と、当財団の研究助成受賞演題3題の発表がありました。 前立腺がん治療における標的遺伝子、前立腺がんの増殖に関連する間質環境、内分泌環境の役割、組織所見に基づく再発予測モデル、酸化ストレスと再燃、がんの増殖抑制に関与する薬剤の作用機序の解明など、最先端の基礎研究の発表があり、活発に討論が行われました。また、教育セミナー1では、京都大学大学院薬学研究科病態機能分析学分野の佐治英郎先生から「前立腺がんの核医学分子イメージング―がんの性状をとらえる分子プローブの開発―」についてご講演いただきました。最新の知見についてわかりやすくお話しいただき、その後、活発な意見交換が行われました。
第2日目の「臨床部門」では、教育セミナー2において、東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻生物統計学の大橋靖雄先生から「がん臨床試験の新しいデザインと展開」についてご講演いただきました。国際的な臨床試験や臨床研究を推進する際に必要な、基盤となる研究デザインの最近の改良点、新規作用機序の抗腫瘍薬の新しい評価手法など、国際的な流れに乗り遅れないための基本的な概念と課題について、非常に貴重なお話を聞くことができました。また、今回の臨床部門の主テーマは「前立腺がんスクリーニング」でした。前立腺がん検診は、前立腺がんに対する診療体系のファーストステップとして非常に重要な位置づけにあることは言うまでもありません。パネルディスカッションでは「我が国における前立腺がん検診の現状と今後」と題し、我が国における前立腺がん検診の変遷、現状、有効性に関する最新情報、我が国で進められている検診関連研究の進行状況、日本泌尿器科学会の関連ガイドラインを基盤とした、正しい前立腺がん検診・診断治療システムに関する講演が4人の指名パネリストより行われ、フロアの先生方を交え、未来に向けての建設的な討論が行われました。また、公募による発表では、住民検診の成果、画像診断の役割、新規腫瘍マーカーの可能性、生検適応の絞り込み、前立腺生検の最適化や精度など、1次スクリーニングから確定診断(生検)まで、41演題の幅広い研究発表がありました。
2日間にわたって開催された今シンポジウムには、380名を超える方々にご参加いただきました。全国の泌尿器科臨床医と基礎研究者を中心に、前立腺がんのマネージメントに関わっている医師が一同に会し、討論を通じて意見交換ができたことは、明日からの前立腺がんの診療レベル向上に直結すると考えられ、極めて重要なシンポジウムとなりました。
テーマ | 【臨床部門】「前立腺がんスクリーニング」 |
---|---|
日程 | 第1日目【基礎部門】:2012年12月8日(土) 12:55~18:00 第2日目【臨床部門】:2012年12月9日(日) 8:55~15:20 |
場所 | 東京コンファレンスセンター・品川(東京都港区港南1-9-36 アレア品川) |
次第 | 第1日目:【基礎部門】 ①指定演題(口演) 1 「間質と再発予測」 2 「標的遺伝子」 3 「内分泌環境」 4 「酸化ストレス」 5 「治療と予防」 ②教育セミナー 1 「前立腺がんの核医学分子イメージング ―がんの性状をとらえる分子プローブの開発―」 佐治 英郎 (京都大学大学院薬学研究科病態機能分析学分野) 第2日目:【臨床部門】 テーマ 「前立腺がんスクリーニング」 ①パネルディスカッション 「我が国における前立腺がん検診の現状と今後」 ■司会 酒井 英樹 (長崎大学大学院腎泌尿器病態学) 古賀 寛史 (原三信病院泌尿器科) ■パネリスト 熊坂 文成 (黒沢病院予防医学研究所) 深貝 隆志 (昭和大学泌尿器科) 伊藤 一人 (群馬大学大学院泌尿器科学) 平尾 佳彦 (奈良県立医科大学名誉教授) ②公募演題 口演セッション 1 「検診精度管理・腫瘍マーカー・生検合併症」 2 「生検精度・新規腫瘍マーカー・画像診断」 ポスター討論 1 「ポスター討論①」 2 「ポスター討論②」 ③教育セミナー 2 「がん臨床試験の新しいデザインと展開」 大橋 靖雄 (東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻生物統計学) |
臨床部門のテーマ設定の背景
今回のシンポジウムでは、前立腺がんに対する診療体系のファーストステップとして非常に重要な前立腺がん検診を主題にしました。検診から前立腺生検による確定診断までのスクリーニングシステムの確立は、その後の適切治療に直結する、前立腺診療の核であり、質の高い均てん化が望まれています。PSA検査を用いたスクリーニングにより、前立腺がん死亡率が低下するとの画期的な研究成果が欧州で行われたERSPC(European Randomized Study of Screening for Prostate Cancer)より発表されましたが、さらに死亡率低下効果が期待でき、費用対効果比に優れた、また検診の不利益である過剰診断を可能な限り減らす方策については、現在国内外で研究が進められています。
我が国において最先端の研究・医療に携わっておられる泌尿器科臨床医と基礎研究者が一同に会し、活発な意見交換の場を提供することは極めて医学的に重要と考え、テーマを設定しました。
当日の様子
「基礎部門」開会の挨拶
白石泰三基礎部門代表運営委員
会場の様子
「基礎部門」セッション
「基礎部門」教育セミナー1
演者:佐治英郎教授
「基礎部門」閉会の挨拶
鈴木和浩運営委員長
「臨床部門」開会の挨拶
鈴木和浩運営委員長
「臨床部門」教育セミナー2
演者:大橋靖雄教授
「臨床部門」
パネルディスカッション
会場の様子
「臨床部門」口演セッション
会場の様子
「臨床部門」ポスターセッション
会場の様子[第1会場]
「臨床部門」ポスターセッション
会場の様子[第2会場]
「臨床部門」閉会の挨拶
村井 勝財団学術担当理事
会場の様子
受付風景
会場の様子
書籍販売
会場の様子
情報コーナー
会場の様子
財団からの情報提供デモ(Webでストリーミング配信中)