第20回前立腺シンポジウム(2004年)
第20回前立腺シンポジウム
本シンポジウムにおける大きな成果のひとつは、全国からの前立腺がん検診に関する報告によって、前立腺がん検診の現状と問題点が明らかになり、我が国における前立腺がん検診の最適なスクリーニングシステムの方向性を示すことができたことです。また、「前立腺がんスクリーニング」のシンポジウムでは、がん検診の重要なテーマであるインフォームド・コンセントに関して活発な討論があり、前立腺がん検診の正しい普及・啓発活動に関するコンセンサスが得られました。また、もう一つのテーマであるPSAを中心とした前立腺がんの診断法に関しては、我が国における血清PSA値に関する研究成果、前立腺がん診断における血清腫瘍マーカーに関する序論に加え、最新の前立腺がん診断法に関する多数の発表があり、今後の前立腺がんの診断精度の向上に大きく寄与することができました。
当日は、泌尿器科のなかで最先端医療に携わっておられる方々を含め、370名を超える多くの方にご参加いただきました。演題それぞれに対して活発なご意見を頂戴いたしましたが、前回にも増して開催テーマに対する参加者各位の関心の高さがうかがえるシンポジウムとなりました。
テーマ | 「前立腺がん診断の進歩」―スクリーニングと血清腫瘍マーカー― |
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日程 | 2004年12月4日(土) 8:30~18:30 |
場所 | 経団連会館(東京都千代田区大手町) |
次第 | ①特別講演 「前立腺研究財団20年の歩み」 山中 英壽(黒沢病院予防医学研究所) ②指定演題 Ⅰ.前立腺がんスクリーニング シンポジウム「前立腺がん検診の現況・問題点・将来展望」 舛森 直哉(札幌医科大学医学部) 伊藤 一人(群馬大学大学院医学系研究科) 北村 浩二(済生会京都府病院) 古賀 寛史(九州大学大学院医学研究院) 酒井 英樹(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科) Ⅱ.血清腫瘍マーカー 「我が国の血清PSA値に関する研究成果」 荒井 陽一(東北大学大学院医学系研究科) 「前立腺癌診断における血清腫瘍マーカーに関するトピック」 中島 淳(慶應義塾大学医学部) ③一般演題 Ⅰ. 「前立腺がんスクリーニング」 1.市町村検診の現状・問題点 2.スクリーニングシステムの提案 Ⅱ. 「血清腫瘍マーカー」 1.PSAおよびPSA関連マーカー 2.その他の腫瘍マーカー Ⅲ. 「前立腺生検・予見因子・その他」 |
テーマ設定の背景
前立腺がんは、我が国において、近年罹患率・死亡率ともに急激に増加しており、2020年には肺がんに次いで罹患数が2番目になるとの予測がなされています。また、我が国においてはいまだに外来にて発見される前立腺がんの約40%は転移がんであるとの報告があり、前立腺がん検診の正しい普及、PSAを中心とした最適な診断法の確立が急務となっております。
そこで、第20回前立腺シンポジウムでは、最新の前立腺がん検診、前立腺がん診断法に関する研究成果を取り上げ、我が国における前立腺がん検診の方向性を定め、精度の高い診断システムを確立することが重要と考え、「前立腺がん診断の進歩 ―スクリーニングと血清腫瘍マーカー―」をテーマに設定いたしました。