前立腺シンポジウム
第30回前立腺シンポジウムの報告
第30回前立腺シンポジウム
第30回前立腺シンポジウムは、第1日目の13日(土)に「オープニングセミナー」と、「基礎部門」として指定演題の発表と「教育セミナー1」を行い、第2日目の14日(日)には「臨床部門」として「教育セミナー2」および「高リスク限局性・局所浸潤前立腺がんの治療戦略」をテーマに、パネルディスカッション、公募による口演とポスター発表・討論を行いました。
第1日目の「オープニングセミナー」では、東京大学先端科学技術研究センターの赤座英之先生から「前立腺癌とアジア;新しい友好関係の構築」についてご講演いただきました。「基礎部門」では、前立腺がんに関連する基礎研究の指定演題8題と、当財団の研究助成受賞演題2題の発表がありました。 前立腺肥大症におけるホルモン環境、前立腺がん進展予防、転写・シグナル経路の解明、細胞培養による増殖因子の検証、転移進展におけるmicroRNAの重要性などに関する基礎研究、手術後のQOL改善を目標としたトランスレーショナルリサーチなど、最先端の発表があり、活発に討論が行われました。また、教育セミナー1では、名古屋市立大学大学院医学研究科細胞生化学講座の中西 真先生から「細胞老化誘導と前立腺腫瘍防御」についてご講演いただきました。細胞老化のメカニズムについて、これまでの知見と、長年にわたる研究成果を基に、老化の過程において細胞周期の回避が重要な現象として認められることを、前立腺肥大症組織をモデルにわかりやすく教えていただき、活発な意見交換が行われました。
第2日目の「臨床部門」では、教育セミナー2において、国立がん研究センター東病院臨床開発センター粒子線医学開発分野の秋元哲夫先生から「前立腺癌に対する放射線療法の進歩」についてご講演いただきました。最近の様々な放射線治療技術の革新的な進歩、高リスク前立腺がんの治療戦略の、現時点での限界と問題点、将来の治療成績向上へのお考えを教えていただき、今後の高リスク前立腺がん治療の方向性を示していただきました。また、今回の臨床部門のテーマは「ハイリスク前立腺がん診断と治療」でした。高リスク前立腺がんのマネージメントは、前立腺がん治療に関わっている医療者にとって、最も難しい領域であり、適切な治療を行うためには、常に最新の知識が必要であることは言うまでもありません。パネルディスカッションでは「高リスク限局性・局所浸潤前立腺がんの治療戦略」と題し、高リスク前立腺がん治療に関して、我が国で最も治療経験が豊富、あるいは本邦発の無作為化比較対照試験を中心となって進めている6人の指名パネリストより講演が行われ、現時点での適切なマネージメント、標準治療の方向性について、討論が行われました。また、公募による発表では、高リスク前立腺がんの新しい診断手法としてのバイオマーカー、画像診断の役割、手術療法の治療成績向上に向けての工夫、放射線療法(外部照射、小線源療法、粒子線治療)の最新技術と成績などに関する49演題の研究発表がありました。
2日間にわたって開催された今シンポジウムには、400名を超える方々にご参加いただきました。全国の泌尿器科医、放射線科医、病理医および基礎研究者を中心に、前立腺がんの診断・治療に携わっておられる医師・研究者が一同に会し、討論を通じて意見交換ができたことは、明日からの前立腺がんの診療レベル向上に直結すると考えられ、極めて重要なシンポジウムとなりました。
テーマ | 【臨床部門】 「ハイリスク前立腺がん診断と治療」 |
日程 | 第1日目 【オープニングセミナー】:平成26年12月13日(土) 12:00~13:00 【基礎部門】:平成26年12月13日(土) 13:05~18:00 第2日目 【臨床部門】:平成26年12月14日(日) 8:55~16:25 |
場所 | 東京コンファレンスセンター・品川 (東京都港区港南1-9-36 アレア品川) |
次第 | 第1日目: 【オープニングセミナー】 「前立腺癌とアジア;新しい友好関係の構築」 赤座英之(東京大学先端科学技術研究センター) 【基礎部門】 ①指定演題(口演)
「細胞老化誘導と前立腺腫瘍防御」 中西 真(名古屋市立大学大学院医学研究科細胞生化学講座) 第2日目: 【臨床部門】 テーマ「ハイリスク前立腺がんの診断と治療」 ①パネルディスカッション 「高リスク限局性・局所浸潤前立腺がんの治療戦略」
口演セッション
「前立腺癌に対する放射線療法の進歩」 秋元哲夫(国立がん研究センター東病院臨床開発センター粒子線医学開発分野) |
臨床部門のテーマ設定の背景
今回のシンポジウムでは、ハイリスク前立腺がんを主題にしました。ハイリスク前立腺がんは、臨床医が正確な診断と治療戦略の選択に最も苦慮する病態であり、手術、放射線治療のモダリティー選択と内分泌療法の至適併用法については議論が多い分野です。そのため、高リスク限局がんから局所浸潤がんに対する画像診断、腫瘍マーカー、生検病理所見の臨床での位置づけ、治療方法と成績、内分泌療法の役割に関しては、近年、革新的に進歩しており、現時点での最新知見を知り、討論する機会が重要です。
今回、ハイリスク前立腺がんの最新の診断技術、様々な治療モダリティーの工夫と組み合わせについての適切な方向性について、我が国で前立腺がん診療に関わっている第一線の臨床医・研究者が一同に会し、活発な意見交換の場を提供することは極めて医学的に重要と考え、テーマを設定しました。
第30回前立腺シンポジウム運営委員会事務局
〒160-0023 東京都新宿区西新宿1-12-12 河西ビル6F
FAX:03-3340-3886
TEL:03-3340-3885
e-mail:zzkz@basil.ocn.ne.jp
運営委員長
鈴木和浩 (臨床部門・代表 群馬大学大学院)
運営委員(臨床部門)
塚本泰司 (札幌医科大学名誉教授)
内藤誠二 (九州大学大学院)
市川智彦 (千葉大学大学院)
村井 勝 (国際親善総合病院)
齊藤 泰 (佐世保市立総合病院・名誉院長)
運営委員(基礎部門)
髙橋 智 (基礎部門・代表 名古屋市立大学大学院)
内藤誠二 (九州大学大学院)
鈴木和浩 (群馬大学大学院)
市川智彦 (千葉大学大学院)
赤座英之 (東京大学先端科学技術研究センター)
小西 登 (奈良県立医科大学)
白石泰三 (三重大学大学院)
酒井英樹 (長崎大学大学院)