前立腺シンポジウム
第25回前立腺シンポジウム内容
第25回前立腺シンポジウム
第25回前立腺シンポジウムは、第1日目の12日(土)は「基礎部門」として指定演題の発表と教育セミナー1を行い、第2日目の13日(日)は「臨床部門」として教育セミナー2および「Stage C 前立腺がん治療」をテーマに、パネルディスカッション、公募による演題発表、ポスター討論を行いました。
第1日目の「基礎部門」では、前立腺がんに関連する基礎研究の指定演題8題と、当財団の研究助成受賞演題2題の発表がありました。発がん遺伝子、1次予防、再燃がん進展機序、前立腺がん動物モデルについて、最先端の基礎研究の発表があり、活発に討論が行われました。また、教育セミナー1では、九州大学大学院病態制御内科の野村政壽先生から「進行前立腺癌におけるアンドロゲン非依存性増殖能獲得の分子機構」についてご講演いただき、最新の知見と将来性についてわかりやすくお話しいただき、活発に意見交換が行われました。
第2日目の「臨床部門」では、教育セミナー2において、オランダ エラスムスメディカルセンター泌尿器科のシュレーダー教授より、欧州で進行中の前立腺がん検診の有用性検証研究であるERSPC(European Randomized Study of Screening for Prostate Cancer)の概要と結果についてのご講演があり、PSA検診の死亡率低下効果に関して決定的な証拠がでたこと、将来の前立腺がん検診の方向性について、非常に貴重なお話を聞くことができました。また、今回の臨床部門の主テーマである「Stage C前立腺がん治療」については、パネルディスカッションにおいて、日本を代表するパネリスト7人による診断、手術、放射線治療、内分泌療法などに関する講演と討論が行われました。また一般演題においては、全国から、最前線で治療している多くの施設より、さまざまな治療モダリティーについて、その成績・将来への課題などに関する48演題の最新知見の発表がありました。放射線腫瘍医と泌尿器科医が一同に会し、討論を通じて意見交換ができたことは、明日からの診療レベル向上に直結すると考えられ、極めて重要なシンポジウムとなりました。
2日間にわたって開催された今シンポジウムには、419名の方々にご参加いただきました。参加した泌尿器科医は、1日目は教育セミナー1と基礎部門での発表により、最先端の前立腺がんに関する基礎研究について触れることができました。2日目は教育セミナー2において、前立腺がん検診の死亡率低下効果に関する決定的な証拠を世界に示した研究の詳細について、主任研究者のシュレーダー教授にご講演いただいたことは、極めて有意義でありました。また、臨床部門として、前立腺がん治療の中で近年、確実に治療法が進歩し、同時に治療成績が向上している、Stage C (局所進行がん) について、発表と討論を通して、現時点での最適な治療法と、将来の方向性について知ることができました。前立腺がんに関連する重要なテーマについて、集中的に時間をかけてじっくり学ぶ本シンポジウムは、日本の前立腺がん診療の向上に大きく貢献したと考えられます。実際に参加者からは有意義であったとの意見が多く、関心の高さを感じるシンポジウムとなりました。
テーマ | 【臨床部門】 「Stage C 前立腺がん治療」 |
日程 | 第1日目【基礎部門】:平成21年12月12日(土) 12:55~18:30 第2日目【臨床部門】:平成21年12月13日(日) 8:55~16:55 |
場所 | 東京コンファレンスセンター・品川 (東京都港区港南1-9-36) |
次第 | 第1日目:【基礎部門】 ①指定演題(口演)
「進行前立腺癌におけるアンドロゲン非依存性増殖能獲得の分子機構」 第2日目:【臨床部門】 テーマ 「Stage C 前立腺がん治療」 ①パネルディスカッション 「Stage C 前立腺がんの治療戦略」
口演セッション
「Screening lowers mortality of prostate cancer ― implications for public health and for individual men」 |
臨床部門のテーマ設定の背景
今回のシンポジウムでは、前立腺がん治療の中でも、治療方針が多彩であり、また治療ストラテジーの違いにより、その予後・治療成績が大きく変わると言われている、局所進行(Stage C)前立腺がんの治療を主題にいたしました。
日本の前立腺がん診療に関わっている多く施設の放射線科医、泌尿器科医が、じっくり討論する機会を設けることは、日本の前立腺がんに対する治療レベル向上に欠かせず、臨床の場における貢献度は極めて大きいと考え、テーマを設定しました。