財団概要

財団設立の目的

 前立腺がんと前立腺肥大症は、2大前立腺疾患です。両者ともに中・高年男子の健康を蝕む代表的な成人病です。

 

 欧米諸国においては前立腺がんの罹患率、死亡率はともに高く、とくに、米国においては男子がんのなかで罹患数は第1位、死亡数は肺がんに次いで第2位となっており、前立腺がんに対する国民の関心は高く、国を挙げて積極的な制がん対策に取り組んでいます。我が国においても、近年の社会の高齢化と生活環境の欧米化に伴い、急激な増加が見られます。早期に発見し、早期に適切に治療するという方策(第二次予防)であるがん検診の普及ならびに関連する研究の促進が強く要望されます。

 

 前立腺肥大症は泌尿器疾患のなかで最も多い疾患のひとつですが、膀胱機能を含めての排尿機構の変化が複雑に関連した疾患であるため、本疾患の発症および経過や治療に関する長期予後の研究は多くありません。前立腺肥大症の本態解明を追究する基礎研究が必要とされています。

 

 人生80年の時代を迎え、前立腺がん、前立腺肥大症についての抜本的対策を確立し、もって、中・高年男子の健康を守ることは直ちに着手されなければならない大事業です。各方面のご賛同のもとにこの国民的大事業の推進母体として本財団は設立されました。


ご挨拶

 2022年6月より公益財団法人前立腺研究財団の代表理事を拝命いたしました。

 前立腺研究財団は、1986年4月に財団法人として設立され、さらに2012年4月には特定公益増進法人の認可を受けました。本財団は、「前立腺に関する研究に対して助成を行うほか、前立腺肥大症・がんについての知識の普及と啓発を図り、もって国民の健康と福祉の向上に寄与する」ことを目的に、前立腺に関する啓発事業や研究助成など様々な事業を展開しています。

 わが国においては高齢化社会などの影響を受けて、前立腺の疾病、悪性の前立腺がんや良性の前立腺肥大症に悩まれている患者さんが増え続けています。

 前立腺がんは、わが国においては本格的な高齢化社会の到来と前立腺腫傷マーカー(PSA)の普及などの影響を受けて、早期がんを中心に罹患数は増加し続けています。男性においては2017年に前立腺がんは胃がん、肺がんを抜いて最も多いがんになりました。また、2021年に発表された国立がん研究センターの年次予測統計では、基幹施設で治療を受けた前立腺がん患者の10年生存率は98.7%と極めて良好で、その結果、累積患者数は年々増加しています。一方、前立腺がんによる死亡数も年々増加しており、2025年~2029年には年平均1万6千人が前立腺がんで死亡すると推測されています。現時点で最も効果的な前立腺がん対策は、がん検診による早期発見を普及させ、適切な治療を行うことに尽きると考えます。同時に、前立腺がんの罹患数、累積患者数、死亡数が増加し続けているわが国では、基礎的研究と臨床的研究の両面から積極的な対がん事業の推進が求められ、財団としてこれらの課題にさらに取り組んでまいります。

 前立腺肥大症は、男性泌尿器科疾患のなかで最も患者数が多い疾患であります。厚生労働省の調査によると、年間約40万人を超える男性が前立腺肥大症と診断され、治療を受けています。前立腺肥大症は加齢とともに肥大化する腺腫による下部尿路閉塞に、膀胱機能の変化が関与して下部尿路症状を生じる病態であり、本疾患の発生機序の更なる解明ならびに効率的な治療体系の確立が望まれています。治療に関しては、機械的な閉塞には新しい低侵襲治慮が急速に発展し、また機能的な閉塞には種々の画期的な治療薬が市場化され、前立腺肥大患者にとって大きな福音になっています。今後は高齢男性の生活の質の向上ならびに対費用効果を含めた治療成績の向上を見据えた啓発事業の展開に努めます。

 泌尿器科の先輩先生方ならびに医療産業界の尽力により、前立腺疾患に対する認識ならびに治療体系は大きく向上し、欧米諸国と比肩しうる水準まで到達しつつあります。超高齢社会を迎えたわが国では、男性高齢者の生命と生活の質に関わる前立腺がんや前立腺肥大症に対する社会的な啓発事業を含めた抜本的対策の確立は国を挙げての急務であると考えます。公益財団法人前立腺研究財団は、その最先端に立ってこの責務を果たし、国民の健康増進と福祉の向上に寄与するために、役員一同、事業推進に取り組んでまいります。

今後とも、当財団の活動に対し、一層のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

2022年6月
公益財団法人前立腺研究財団
代表理事 平尾 佳彦

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